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zoom RSS 植民地と阿片

<<   作成日時 : 2006/08/21 18:54   >>

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著名な台湾人作家呂赫若の1943年の作品に「合家平安」というのがあります。なかなか平和そうなタイトルですが、実際かなり壮絶なものです。

 ある裕福な家庭がありました。そこの主人が養子をとるんですけど、その養子のことはそっちのけで阿片中毒になってしまうんです。で、阿片のせいで家は傾き、没落します。養子の勧めで主人は阿片をやめて再出発しようとするのですが、またもや阿片をはじめ、家の金に手をつけ、養子に罵倒される、というような話です。

 一見戦争中の風紀改善のために「阿片はだめですよ」みたいなキャンペーンのための作品にも読み取れますけど、ちょっと考えてみるとひっかかるところがあるんですね。それは、

「なぜ、養子縁組の関係なのか?」ということなんです。

そしてこの主人というのは、養子のことも考えずにいえの金に手をつけ、当然養子の金にも手をつけ、吸い上げるわけですね。

 ところで、僕は植民地の問題を考えているんですけど、植民地の研究をするとき、「養子」というのは、結構いろんなところで言われます。

 有名なところでは、E.W.サイードも植民地と本国を「擬似親子関係」なんていうようにいいます。また、植民地の住民が宗主国の言葉で文学表現を続けるという時にも、「養子」というようなフレーズが登場します。

 台湾の本島人作家が、日本の植民地支配を全肯定していたとは考えにくいです。たとえ、「日本とともに生きていたい」としてもそれは、「日本人と台湾人が平等に生きる」ことを意味しています。しかし、そのためには、たとえ家父長的であっても、自分たちの存在を少しでもよく考えるような日本人と協力関係を結ぶしかありませんでした。

 だけど、そんな日本人だけではもちろんありません。というか総督府や軍、警察が究極的に自分たちに弾圧の手を向けてくる存在であることは、知識人なら、誰でも感じていたでしょうね。

 そして、たとえばマルクス主義の素養をもっているような知識人なら特に、植民地支配の本質を見抜いていたでしょう。たとえマルクス主義的な世界観を全面に押し出すようなことができなくても・・・。(なお呂赫若という人は、経歴的には、プロレタリア文学の系譜を引く人です)

 さて、さっきの問いです。「なぜ阿片中毒の主人と、吸い上げられる養子」なんでしょうかね。麻薬におかされた人は、麻薬を吸い続けることでしか自分を保てません。そのうち家の財産をすべてつぎ込んでしまって崩壊してゆく・・・

 なお、台湾でも、阿片というのはひとつの社会問題でした。やはり社会不安とか、戦争とかの影もあったのでしょう。。。ともすれば、台湾社会の中で、そうでもしないと自分たちを保てないような雰囲気があったということも想像できますね。 なお、植民地当局の阿片政策は、「漸禁」政策というものでした。・・・といえば聞こえはいいですが、その実態は、総督府の専売局による専売で独占的に流通させ、利益を出していたのです。阿片が、台湾の住民に対して、現実の矛盾から目をそらせる一つの手段になっていたのでしょうね。

 さすがに当時はかけないにしろ、こういう社会を作り出した元凶が誰なのか・・・今なら口にだすことは容易ですね。

 また、別の読み方・・・養子というのは台湾人、そして阿片中毒者こそが日本だ、という読み方も可能ですね。とめどない征服欲に日本は駆り立てられていました。征服を可能にするような費用=文化、科学、政治、経済・・・は植民地が負担していたのはいうまでもないですね。そう、阿片に狂ったこの主人が養子を犠牲にするように・・・。

 そして最後は罵倒されて終わります。「いい加減にしろ」と。大日本帝国も「いい加減にしろ」といわれています。でも、「いいかげんにしろ」の言葉は、日本の支配層や、日本の今の社会の人の多くに伝わっているでしょうか・・・。むしろ耳栓をつめているような感さえありますね

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フェラガモ 靴
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フェラガモ 靴
2013/07/03 18:35

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内 容 ニックネーム/日時
あのね、阿片を植民地統治に利用するなら、なんで統治二十年で阿片患者が半減するのさ。搾取するなら阿片患者を増やすことあれ、減るはずないでしょうが・・・
現代のアメリカみたいに厳禁政策やっても、住民の5%が阿片患者だったんだぞ。成功したとは思えん。
私は阿片を専売制にしたのは、阿片の需要と供給の関係を壊し、かつ税収を増やす一石二鳥の策だと思うがね。これで実際阿片を減らしたんだから、良いではないか。
ちなみにね戦争中の1944年に阿片が撲滅されたんだよ。もっと調べようね。
as
2006/11/21 20:02

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