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zoom RSS 『憲法九条を世界遺産に』から考えたこと

<<   作成日時 : 2006/10/06 18:17  

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太田光・中沢新一『憲法九条を世界遺産に』集英社新書 2006を読んで、あれこれ考えることがあります。

◆「平和」をめぐる思想の幅広さと、そこから来る「危険性」

 太田と中沢が宮沢賢治について議論しています。ポイントとしては賢治が国柱会に入っていたことです。そのことに彼らはふれて、賢治が戦争を否定しながら、それでも日本の侵略戦争を推進していくことになる流れのなかにも足を踏み入れていることをどう考えるかについて議論しています。

 彼らの議論では賢治が国柱会に傾倒していたことと、ユートピア的作品というのは実は、地続きのものではないかというわけです。ここで彼らが登場させるのが、賢治に影響を与えた田中智学なんですが、彼の考えた「八紘一宇」というのは、農耕社会をイメージしています。で、賢治がこの田中の考えを受け取り、賢治が創作活動を展開していくことと、戦後日本人の多くが憲法を受け入れた感覚とがつながっているんではないかとろんじるわけです。

 僕はあながちこの二人の議論は否定できないな、と思いました。まず、戦前の日本の思想界に根をおろし、右から左まで広範な受け取り方をされた「大アジア主義」の潮流は、其れ自体としては、「日本とアジア諸国との連帯」という言葉がつかわれていたわけです。そして、「連帯」という意味あいが、諸勢力の政治的な意志と、諸勢力の力関係のなかで、その実「支配ー被支配」の関係に置き換えられたわけです。

 もう一つはそれに関連して、戦前の下からの右翼運動(国柱会に限らず)は、基本的には、牧歌的な農村社会(その実、地主などの名望家支配)を支持していて、その中で皆が肩を寄せ合う関係を築こうとするものでした。おそらくは、相互他人的な資本主義社会の人間関係や、農村を犠牲にした日本資本主義に対しての不満の表れだと思いますが、こうしたものに賢治が惹かれていくことはそれほど不思議ではありません。

 むろん、この本では中沢や太田は大アジア主義や右翼団体についてのそれほど詳しい叙述はしません。(それが課題の本ではないからですが。)しかし、中沢や太田の洞察に対して僕が否定しないのは、実際、こうした日本資本主義の展開や、その中ででてくる諸潮流との関連を考えた結果です。

 そこでもう一つ。中沢・太田は、賢治が日本人に受け入れられてきた土壌の中に危険なものがあると指摘しています。それは、かつて賢治が関わってきた表現活動や、その表現活動の場が日本の侵略戦争に関わってきたという事実を見ずに、賢治の「平和的」な部分だけを見ようとする姿勢だといいます。つまり「自分の中の矛盾を見ようとしない」ということです。

 この彼らの議論を聞くと、これも否定できません。戦後、日本社会はどれくらい戦争の問題を考えてきたんでしょうか。自分たち自身が被った「悲惨さ」は言っても、どれくらい、他の国の人たちにひどいことをしてきた経験と向き合ってきたんでしょうか。

 彼らはホリエモンを支持する若者の例をとって、ホリエモンが逮捕された後は「やっぱりよくなかった」といきなりいう姿勢につながっていると言います。

 この点はほとんど日本では議論されていません。ただ、よく見てみると、そういうことを言った知識人の中で、丸山真男が挙げられます。(太田は丸山真男を読んだけど難しかったといいますが。)
 たしか、「超国家主義の論理と心理」で、自由民権運動の指導者、河野広中が、ミルの自由論を読んで「馬上ながら之を読むに及んでこれまで漢学、国学にて養われ、動もすれば攘夷をも唱えた従来の思想が、一丁にして大革命を起こし、忠孝の道位をのぞいただけで、従来有っていた思想が木っ端みじんのごとく打ち壊かるると同時に人の自由、人の権利の重んずべきを知った。」と述べていることに触れて、何らの矛盾もなく、(あるいは矛盾も見ないで)突然、別の思想に飛びつく姿勢を指摘しています。これは、人権概念の受容がついに個人の良心を媒介しなかったことへの批判です。そして同時に時代の変転期に、矛盾をきたすこともなく、形式だけを取り入れてよしとして、自らの従来有った枠組みで、内容を偽装するようなあり方への批判です。
 
 実際ホリエモンの逮捕後、メディアでの論点は「法=形式」への違反行為への批判が大半でした。また、戦後日本の平和思想というものは、戦争の悲惨さに根拠を持っていますが、本当に日本が世界で何をしたかという批判だったのかというと層でもない側面が多々あります。

 現に、日本は植民地住民への補償の議論はあまりなされず、日本国内の旧植民地住民に対する地位の保障もしませんでした。

 被害の側面からの戦争批判は、「自分たちは苦しかったんだ」というものではあったと思いますが、これが、自分たちの社会を本当に変えていくんだというような熱意を内面化するにはあまりいたりませんでした。それこそ藤田省三が「消費社会の中での個」というレベルでしか日本の個が育たなかったと批判したように、高度成長後、日本人がアジアにいってろくでもないことをしまくり、金儲けだけを追求している姿を見れば、日本社会が、自らの歴史的な、あるいは自分のなかにある内的な矛盾に目をつぶっていたという批判はかなり正しいと思います。

 平和の問題を考えるときも、僕は憲法を活かす立場に立つものですが、もっと歴史の問題などについて内省的にみたいものです。

◆死の花・桜
 太田の文章の中で小泉が桜の下で大衆に演説し、「潔く身をひく」ことを熱弁しているところがかかれています。太田は「かつて日本人が表現していた死」が桜ではないかといいます。その通り!桜のようにパッと死ぬことが日本人の美徳だとされた時期がありました。(ちなみにこういう桜の表象がされるのは明治以降です。武士道といっても桜の花のようにというのは近代以降に言われた側面が強いんです。例えば、城などでは桜は「縁起が悪い」ということで、好まれなかったんですね。だから松の木が植えられていたわけです。)
 で、近代以降に日本人が植え付けられた桜のイメージそのままに「パッと」死ぬ教育がなされたわけです。

 なお、最後に、いきなり話は脱線しますが、植民地経験を持っている人たちの中にも桜が「死の花」であるととらえている例があります。ただし、喜びの対象ではなく、業火と殺戮に重なるイメージとしてですが。例えば、僕が読んだところでは、台湾の先住民系の作家・ワリス・ノカン氏の詩「庚午霧社行」(ワリス・ノカン『永遠の山地』草風館 2003)では、先住民の居住区である霧社に咲く満開の花を見ていると、それが、1930年の霧社事件において、日本軍が先住民たちを殺戮する火花や硝煙、砲声と重ねられています。

「・・・独り灯の下で書を友とする/にわかに轟く砲声/窓を閉める/そっとドアを開けると/驚愕がまなこを襲う/まさに庚午の年の砲煙/山野をおおう火花/また、勘違いした/霧社は満開の桜の花!」

 僕は、近代において、日本社会では、桜というものを「美しい死」の象徴としてとらえ(捉えさせられ)、その「美しい死」は、日本が海外を征服するためのものだったと思っています。
 ところが、ワリス・ノカン氏にあっては、桜が自分たちの民族を焼く火と重なってしまうわけです。

 小泉氏は桜のイメージを利用することで、自らの「政権の死」の美しさをアピールしました。僕は、そこにものすごい気持ち悪さを感じるのです。安倍氏は、「美しい国」などと言います。そして具体的な政策の中では教育基本法を改定しようとしていますが、彼は以前、「国のために命を捧げられる人間をつくる」とかいってました。彼が以前「首相は靖国にいってもらいたい」とかいってましたが、「自衛隊員が海外で「美しく」死んで靖国に祀ってやる」とでもいいたいんでしょうか。

 またもや美しく咲く桜は、アメリカや日本のせいで殺されていく立場の国や地域の人々から、「砲声や火花」を連想させてしまうんでしょうか。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
興味深い文面で面白く読ませて頂きました。
日本人の心の奥底をかいま見せて貰ったように思います。
Hbar
2006/10/10 13:50
日本人の思想パターン、矛盾なく変わり身を遂げる不思議さを私も感じていましたが、その点で大変示唆を受けました。ここをしっかりと掘り下げないと、これからも日本はころころと変身を遂げながら、内部は明治以前と変わりがないということになってしまうでしょう。
首藤
2006/10/10 17:10
掲示板の「人格」「問題提起」に書いております。
「のりふみ」さんの 『憲法九条を世界遺産に』から考えたことはご自身の意見を交えた読後感想文は、中々読み応えがあります。

その中で、宮沢賢治が田中智学の唱えた「八紘一宇」に傾倒したという記述が気になり、これも今の日本人の人格形成に大きな遺産として考えられます。
Hbar
2006/10/23 09:30
いい大人が反論せずに逃げるんですか?
自分が間違っていないと思うなら堂々と反論してくださいよ。
コメントを削除したあげく、非公開にするということはご自身の発言(日記)への責任を放棄したということですよ?

貴方は今後、実社会でも自分の言動で非難を浴びたら今みたいになかったことにして逃げるわけですね。
最低ですよ。情けない。
とても院生とは思えない行動です。
のりさんは本当に院生ですか?
2006/11/23 00:39
貴様、在日の私を差別したね。
ネットウヨクがキライだからサヨク面か。
ふざけ半分で政治を語ってもらいたくない。
貴様のやったことはスターリンの粛清にも似て
あまりに酷くあいた口が塞がらなかった。
自己批判しなさい。
リッツ
2006/11/23 00:45
女の子のオ●ニーをじっくり見たのはじめて(;゜∀゜)=3
彼女いわくオ●ニーにも前戯があるらしく、最初はナスビ入れてたよwwww
やっとバイブ使ったと思ったら一瞬で死ぬほど潮吹いてるしΣ(´Д` )ナンジャソリャ
見てるだけで6マンはウマかったわぁ(゜Д゜)y─┛~~
http://jazzye.net/nasukko/rK9VeTa1
マサマサ
2008/06/14 19:55
これ始めたら女釣れすぎwww
いつもテ〃リ嬢に金払ってたのがバカみてぇ。。
だってヤる度に金くれんだもんヽ(´ー`)ノ
ぶっちゃけ風俗は卒業ッス(´ー`)y─┛~~

http://darani9pi.net/raku/q3jLG63l
祖千ン
2008/07/20 03:50
オナ見だけの予定だったけど、ちゃっかり最後までフィニッシュwwww
だって下のお口がツユダクだったんだから挿れるしかないっしょヽ(゜∀゜)ノ
指マ&栗攻め→イラ魔チォ→騎乗→ナカ出シ
の黄金パターンでガッツリ楽しんできますたぁぁあぁヽ(´ー`)ノ

http://c-melon.net/ameban/G42QOBSu
虎とら
2008/09/06 11:50

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